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自費リハビリの効果を最大化するには?ー 結論は「量×強度×特異性×継続」

みなさんは、
しっかり運動しているのに、全然良くならない
どのくらいの量のリハビリをやったら良くなるのか分からない
このように感じたことはありませんか?
セラピーの効果が出るか否かは、「練習量(時間・頻度)」「強度」「課題特異性(やりたい動作に近い練習かどうか)」「継続」の4つが重要とされており、どれかひとつでも欠けると狙った効果が得られにくくなってしまいます。
私は、社会医療法人が運営する自費リハビリ施設で勤務し、脊髄損傷の認定理学療法士としてたくさんの方々を担当してきました。
この記事では、自費リハビリを行う上で、私が最も意識している「練習量×強度×課題特異性×継続」について、エビデンスを交えながら詳しく解説していきます。
この記事を読めば、自宅で自主トレなどを行う際、どのような点に重きを置いて行えばよいのかが明確になり、運動の効果を高めることができるようになります。
私の知識を凝縮しましたので、「納得できるリハビリを受けたい!」という方はぜひ最後までお読みください。
効果を最大化する「練習量×強度」ー多ければ多いほど○

身体機能を向上させるために、「どのくらいの練習量」を、「どのくらいの強度で」実施しないといけないのか、悩まれる方が多いのではないでしょうか?
ここでは、特に悩んでらっしゃる方が多い「脳卒中」と「脊髄損傷」の方に分け、それぞれのエビデンスを紹介していきます。
脳卒中
退院後の通院リハビリや、在宅での訪問リハビリにおいては、
”各必要職種につき1日45分、週2–5日、理想的には少なくとも8週間を推奨(推奨度A/B)”— Canadian Stroke Best Practices より引用
という考え方が一般的となっています。
例えば、通院リハビリや訪問リハビリで週2回、40-60分ほど運動している場合は、推奨範囲内の練習量は確保できているものの、ほぼ下限の値になってしまいます。
また、
”セラピー時間・回数を増やすほど運動機能の改善が大きいと結論”— Is more better? Using meta-data to explore dose-response relationships in stroke rehabilitation より引用
とされており、過負荷にならない範囲であれば、練習量や強度は多ければ多いほど良いといえます。
脊髄損傷
国際ガイドラインでは、体力・筋力の改善(全身のベースアップ)であれば、
”有酸素20分×週2回+筋力トレ週2回(各3セット)で効果あり。代謝改善目的なら有酸素30分×週3回を推奨”— Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline より引用
とされており、体力や筋力をもう少しつけたいという方は週2回の運動でも良いとされています。
しかし、立位や歩行の獲得となると、研究でのプログラムは週3-5回が標準的であり、週2回で身体機能が回復したとの報告は少ないです。
Kathleen A. Martin Ginisらの研究においても、
”5日/週×12週で歩行速度・距離が改善”— Influence of a Locomotor Training Approach on Walking Speed and Distance in People With Chronic Spinal Cord Injury: A Randomized Clinical Trial より引用
とされており、可能であれば週5回、12週間という、中期間で高強度のリハビリが推奨されると考えています。
足りない量をどう補うか
当施設では、上記のエビデンスを参考に、週2回、1回60分、合計8週間のプランを通常プログラムとして設定しております。
また、追加のプランを契約していただくことで、週3-5回の介入に関しても対応可能となっております。
少し時間がかかってしまっても、ご自身のペースでセラピーを行いたい方、短期的に集中してセラピーを行いたい方、それぞれのご意向に沿いながらセラピーを進めることが可能です。
また、週2回の介入に留まる場合でも、必ず自主練習の指導を行っております。
当施設では、合計200種類の自主練習メニューの中から、その方に合った運動や練習量・強度を設定し、紙面にて提供することで、ご自宅でも自主練習を続けやすい環境作りを意識しております。
特異性ー「やりたい動作」をそのまま練習するのが最短ルート

自費リハビリを利用される方の中には、明確な目標を持っておられる方と、そうでない方がおられます。
また、明確な目標を持っている方(歩きたい等)でも、「どこを歩きたいのか」「杖や装具は使うのか」「介助があってでも歩きたいのか」など、細分化していくと明確になっておられない方も多いです。
当施設では、体験プログラムを利用される際に、「リハビリをしてどうなりたいのか」を可能な限り具体化した後に、その「なりたい自分」になることに特化したリハビリメニューをプログラムしております。
例えば、「家の中を、装具や杖を使ってでも良いから、自分一人の力で歩けるようになりたい」という目標が明確になれば、徹底的にその環境下での練習を行っていきます。
また、セラピーの前後や、必要であればセラピー中に動画撮影を行い、セラピー終了後にプロジェクターで動画を流しながら動作確認やフィードバックを毎回行っております。それにより、現在の進捗状況や問題点が利用者様目線でも明確となるため、より納得した状態でセラピーを進めていくことが可能となっております。
忘れてはいけない「継続」ー習慣化とアフターフォローが鍵

リハビリ病院を退院された方や、生活期のリハビリを終了された方の中には、
入院中・利用中に出来るようになったが、退院・終了したらできなくなった
とおっしゃられる方は非常に多く、運動量が減ると身体機能が低下します。
当施設では、利用中から自主練習を提供することはもちろん、終了時には終了後の生活に合わせた自主練習や散歩や趣味活動を交えた生活のアドバイスを実施しております。
また、
身体機能が落ちてきているか心配だから、定期的にチェックしてほしい
というお声もいただいているため、当施設の複数回プログラムをご利用いただき、卒業された方限定で、月1回・合計3回の「機能確認プログラム」を用意しました。
このプログラムでは、月1回来院された際に、身体機能のチェックや、現在不安に思われている動作の確認、ご自宅の手すりなどの環境や生活指導のアドバイスを実施しております。
これにより、利用終了後にも困ったことがあった際には気軽に相談出来るため、安心してご利用いただける環境となっております。
まとめ
・リハビリの「練習量」と「強度」
基本的に週2回ではぎりぎり足りるか足りないかであり、週3-5回の運動が望ましい
強度はなるべく高い方が良いが、過負荷にならないよう調整は必要
・リハビリの「特異性」
曖昧な目標では改善しにくいため、ヒアリングしながら目標を明確にしていただくサポートを実施
目標が決まればその動作練習を行いながら、動画撮影を交えてフィードバックを行っていく
・リハビリの「継続」
獲得した動作を維持するための自主練習を終了時に追加提案
不安な場合は「機能確認プログラム」などのアフターフォロープログラムも利用可能
おわりに
今回は、” 練習量×強度×課題特異性×継続 ”というテーマで、それぞれのポイントと当施設の強みを説明致しました。
当施設にご興味をお持ちの方は、当ホームページ右上のお問い合わせフォームよりお問い合わせいただくか、下記の電話番号までお電話いただければ幸いです。
よろしくお願い致します。
お電話:072-681-7777(受付時間:8:30~17:00 日祝除く)
メール:r-reha@aijinkai-group.com
担当:チーフセラピスト(理学療法士)山口 勝生